過去の自分を裏切って何が悪い

2018.03.28PHOTOGRAPH and WOLF

OLYMPUS PEN-F + VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC 山の花

OLYMPUS PEN-F / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC

35mm換算50mmの画角で最も気に入って使っているM.ZUIKO 25mmF1.8は、安いくせに驚くほど精細な描写が持ち味で文句のつけようもないほど素晴らしいレンズなのだけど、いかんせんルックスがよろしくない。以前オリンパスの方に「重くて明るい単焦点25mmF1.2はいいけど、軽くて愛らしい単焦点12mmと同じルックスの単焦点25mmもつくって欲しい」と言ったこともあったが、そんなことを言ってもメーカーとニーズの都合というものがねぇ。

このブログでオールドレンズは自分には合わない(参照:固定概念から自由になるための礎)ということを書いた。つい最近のことである。フォクトレンダー(VoigtLander)VMマウントのNOKTON Classicも「合わない」と1度は思ったレンズで、40mmを買って何枚か撮った後、無情にも売り払った経緯がある。それでも気になって、今度は35mmを買った凝りない自分。何故って、それはもちろんルックスがいいからです。

VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO 25mm F1.8

女性の魅力は経験と哲学に裏打ちされた内面だ、と豪語していたオジサンが通りすがりの美人にあっさり心奪われる感じに似ている。こだわりもクソもない。顔が美しいから、きっと心も美しいんじゃないかな、という期待。いや、願望である。シルバーのラインが少しうるさいので、カッティングシートの黒を貼ってアレンジし、専用フードを付け、マウントアダプターを介してPEN-Fに取り付ける。絞りのリング、ピントのリングを操作して撮ると、登山中の撮影もなかなか楽しい。

OLYMPUS PEN-F + VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC 大野山

OLYMPUS PEN-F / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC

以前、40mmを買ったときには開放での写りしか気にしてなかったが、どうもこのレンズは少し絞って撮るととても安定した写りを見せてくれる。F8以上絞るカリッとシャープに。とは言え、クラシックのオマージュであるこのレンズは、ピンとの合っていない部分や画面の端では手ブレしたかのように像が砕け、モダンレンズにはない欠点がはっきりと確認できる。

OLYMPUS PEN-F + VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC 桜

OLYMPUS PEN-F / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC

マイクロフォーサーズのカメラで使うと70mmの画角となり、中望遠並みに画角が狭い。WEB上で評価されるほど特別な色をレンズが勝手に再現してくれるわけではなく、現像の際に手を加えた方が心地よい色になるのはモダンレンズと同じ。近くの被写体は撮れない。モダンレンズにはない欠落がある。ピントリングを回すレバーを何指で動かすか悩む。色々な制約があって少し煩わしいレンズだが、撮影しているときはとてもいい気分にさせてくれる。モダンレンズがパソコンと付き合う快適さなら、このレンズVM35mmを使うことは人と向き合う行為に似ている気がする。

データ形式をJPGで撮ると、画像が勝手に圧縮されて嫌な感じになるのが大嫌いだったが、夜の灯りを試しにJPGで撮ってみたら悪くなかった。何事も柔軟に、ということでしょうか。昨日までの小さなこだわりを、今日ポイッと捨てたところで実は誰も困らない。

OLYMPUS PEN-F + VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC 夜の灯り

OLYMPUS PEN-F / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC

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