雨を愛せる人になりたい

2019.07.29PHOTOGRAPH and WOLF

雨の日とオールドレンズ01

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

雨なんか大嫌いだ。もちろん雨が必要なのはわかるが、できれば夜眠っている間に降って欲しい。そう思って生きてきたのは僕だけじゃないだろう。極端に狭まる行動範囲、傘を持ち歩く煩わしさ、不快な湿度。雨の嫌なところをあげたらキリがない。雨が降ったらシャネルのバッグを持ち歩けないとか、バッチリ決めた髪型が崩れるといった些細なことから、農作物の不作で破産しかけるとか、数年かけて準備したイベントが飛んでしまうといった大事件まで、雨の影響は非常に厄介だ。どこかフラフラしながら写真でも。そういう平和な週末に雨が降ってしまうと、どこへ行こうか困ってしまう。ちょっとばかし高額なカメラなんか使っているバカ野郎なら、雨風を気にしながらの撮影やレンズ交換は必要以上に神経を使うことになる。防塵防滴という最近の謳い文句も、正直あまり信用できない。

多くの人と同じく「雨なんてなくていいのに」思考を貫いてきた。しかし、ある日ひょんなことからその考えを改めた。雨の日に1人傘を差して歩いていると、小さい女の子を連れた母親が僕の近くを歩いていた。雨、やまないかなぁ。そう思って歩いていた。僕のすぐそばで幼い少女は突然「雨、大好き!」と叫んだのだ。オジサン衝撃である。そうか、雨、好きなんだ…。年齢差や人生経験、個人の趣向は別にして、雨を好きだという純粋な子供の発言を称賛するとともに、長く生きてきたくせに雨を楽しめる感受性とそれを許容する広い心が自分にないことに軽いショックを覚えた。雨をすら楽しめないなんて、人間小さすぎる…。そういうことを気づかせてくれた通りすがりの女の子に、ちょっとしたお小遣いでもあげたいくらいだ。

雨の日とオールドレンズ02

LEICA M Typ240 / LEICA Summicron 50mm F2.0 Collapsible

雨の日とオールドレンズ03

LEICA M Typ240 / LEICA Summicron 50mm F2.0 Collapsible

そんなこんなで雨を楽しむ写真撮影がはじまった。撮ってみると雨の日の撮影も悪くない。雨の滴、煙った白い空、濡れた地面。晴れの日とは違った表情をみせる世界に埋没し、シャッターを切っていく。湿度のためか、どことなく静かな心持ちになる。もちろん傘を差してカメラが濡れないように気をつけながらの撮影は、あまりアグレッシブな体制は取れない。しっとりとした心持ちで、しっとりとした体制で、しっとりとシャッターを切るのである。イヤホンから流れる音楽はビリージョエルの1stアルバムか、トムウェイツ。雨の中、写真を撮ることが楽しくなると、雨の日がもっと好きになる。

雨の日とオールドレンズ04

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

雨の日とオールドレンズ05

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

雨の日とオールドレンズ06

LEICA M Typ240 / LEICA Summicron 50mm F2.0 Collapsible

雨の日とオールドレンズ07

LEICA M Typ240 / PENTAX Super Takumar 55mm F1.8

雨の日とオールドレンズ08

LEICA M Typ240 / PENTAX Super Takumar 55mm F1.8

雨の日とオールドレンズ09

LEICA M Typ240 / PENTAX Super Takumar 55mm F1.8

雨の日とオールドレンズ10

LEICA M Typ240 / PENTAX Super Takumar 55mm F1.8

雨が上がった後の世界もなかなかいい。愛するオールドレンズ、PENTAX Super Takumar 55mm F1.8は晴れでも雨でもいい味を出してくれる。

雨の日とオールドレンズ11

SONY α7R2 / PENTAX Super Takumar 55mm F1.8

雨の日とオールドレンズ12

SONY α7R2 / PENTAX Super Takumar 55mm F1.8

どう頑張ったって雨という自然現象を人が動かすことはできない。過去を悔やんでも過ぎ去った事実を変えることができないように。しかし、それをどう捉えるかで個人的価値がまるで違うものになる。今年の梅雨は、思う存分雨を楽しむことができなかった。雨の日に撮ってみたいシーンがまだまだたくさんある。ウェルカム、雨!

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