終わりに思う 始まりに思う

2019.01.01PHOTOGRAPH and WOLF

Takumar 200mm F4

SONY α7R2 / PENTAX SMC Takumar 200mm F4

大切な決断は朝にした方がいい。そういう話を聞いたことがある。1日の終えようとしている夜はどうしても自分に寛容になるし、夜に考えることは大抵くだらないという理由だ。過ぎ去った時間については何だかんだ過大評価してしまうし、眠る前に語った夢など翌日には忘れてしまう。それに対して朝の場合は、これから始まる1日を前にして本当にやりたいことと今できること、選択したものにつながるタスクなど、決断に対して誠実になれるということだろう。

takumar55mm

SONY α7R2 / PENTAX Super Takumar 55mm F1.8

朝と夜の心持ちが違うように、朝と夜では撮れる写真も違う。もちろん朝焼けと夕焼けの場合、同じように浅い角度から世界を照らすから、現像してみるとどちらが朝なのか夕なのかわかりずらいこともある。世界をオレンジ色に染めるという点では、朝と夕はとても似ている。どちらも写真を撮る人が好きなマジックアワーである。

SONY α7R2 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

SONY α7R2 / PENTAX SMC Takumar 200mm F4

SONY α7R2 / PENTAX SMC Takumar 200mm F4

朝と夜は違う。しかし個人的には、アルコールを体が拒絶するようになってから夜に酔っていることがなくなり、次第に朝と夜の思考が近くなってきているのを感じている。年が変わる瞬間も、歳を重ねるごとに「特別」ではなくなってきた。そういった変化はメリハリがなくなってきたと言うこともできるが、案外悪くない現象だと思っている。心持ちがもっともっとフラットになれば、朝も昼も夜も、年末も年始も、同じような目線でファインダーから覗く景色が美しいと思えるようになるだろう。

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