マイクロフォーサーズの魅力 2021

2021.07.19PHOTOGRAPH and WOLF

マイプロフォーサーズ:LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱで撮影した写真01

OLYMPUS PEN-F / LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱ

このブログをはじめて公開したのが2017年の終わりで、その時使っていたカメラがオリンパスPEN-Fだ。2番目に書いたブログ「マイクロフォーサーズの魅力」では、マイクロフォーサーズっていいよね、という内容を書いている。熱心に写真を取り続け、4年前と現在とでは写真と機材に対する考え方が結構変わった思っているが、4年経った今でも僕にとってマイクロフォーサーズは相変わらず「いいね」だ。

マイプロフォーサーズ:LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱで撮影した写真02

OLYMPUS PEN-F / LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱ

マイクロフォーサーズのメリットはセンサーが小さいことだ。フルサイズやAPS-Cよりも小さく、フルサイズの半分、面積だと約1/4に相当する。小さければいいなら1型ならどうだ?と言われそうだが、1型だとセンサーが小さすぎるし、ノイズも出やすい。一般的に言われるのが「マイクロフォーサーズはセンサーが小さいからボディもレンズもコンパクトで軽量」ということだが、カメラやレンズの選択によっては軽量コンパクトとは言えないものになる。もちろんフルサイズの中でもデカイ方の機材と比較すれば「小さい」ということになるのだろうけど、フルサイズの機材だって選択次第によってはコンパクトに収めることもできるのだ。マイクロフォーサーズはコンパクトだと言いながら、パナソニックもオリンパスも重そうなレンズをたくさんラインナップしていて、メーカーの矛盾が露骨に感じられる。だから、マイクロフォーサーズの機材を揃えれば「コンパクト」とは一概に言えないのだ。明確なのはフルサイズやAPS-Cよりも画角が狭いことで、これはマイクロフォーサーズのメリットと直結する。画角が狭いことが特定に撮影に大いに役に立つのは、望遠とマクロ撮影である。

マイプロフォーサーズ:LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱで撮影した写真03

OLYMPUS PEN-F / LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱ

マイプロフォーサーズ:LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱで撮影した写真04

OLYMPUS PEN-F / LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱ

少し離れたところにいる動物の写真を撮るのに、マイクロフォーサーズの機材は活躍する。300mmのレンズで撮っても35mmに換算すれば600mmの画角になる。600mmのレンズを使ってフルサイズで撮ればいいじゃないか、それもそうだが600mmのレンズなんて重すぎてそれだけで疲弊してしまう。マニュアルフォーカス好きのオジサンも、動きが読めない動物が相手だとオートフォーカスに頼る。うちで一緒に暮らす2匹の犬たちを撮るときは当然のようにマニュアルレンズを使っているが、飼い犬とそうでない動物とでは勝手が違う。マイクロフォーサーズはセンサーの大きさがフルサイズの半分。しかし、画質はどうなのか?という心配無用だ。被写界深度を少し深めにして8×10の縦横比でトリミングすれば、バイテン(8×10)で撮ったような風格まで感じられる。写真のフレームが8×10になると、解像度まで高く感じられるから不思議だ。

マイプロフォーサーズ:LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱで撮影した写真05

OLYMPUS PEN-F / LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱ

マイプロフォーサーズ:LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱで撮影した写真06

OLYMPUS PEN-F / LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱ

よく聞く「解像感」というのが僕にはよくわからない。立体感とか臨場感とか、そういう写真の印象に写真機材が影響与えることは確かで、写真撮りがカメラやレンズをアレやコレや探し回ってしまうのは仕方がないのかもしれないが、実際にはカメラやレンズよりももっと大切なことがある。写真の魅力に最も影響があるのは被写体(何を撮ったか)で、次に現像(どう仕上げたか)その次に撮影コンディション(光や撮り方)その次に選択した撮影機材という感じで、撮影機材は結局のところ「道具」に過ぎない。どんなに素晴らしいカメラで撮っても、撮っているものに魅力がなかったり、撮影方法がイマイチで肝心のディテールや雰囲気が写っていなかったら写真に魅力が宿るはずがない。ハイクラスなフォトグラファーが撮る写真が美しいのは、被写体に充分な魅力があってしかもライティングできっちり光をコントロールしているからだ。カメラもレンズも同じものを使ったとしても、あまりパッとしないものを自然光のまま素人が撮ったところで、ぐっとくる写真になるわけがない。

OLYMPUS PEN-F / LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱ

OLYMPUS PEN-F / LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱ

センサーサイズが大きい方がいい写真が撮れる、というのは間違いだ。画質=解像度というのも大きな誤解だ。だだし、撮影するものや表現したい絵によって向き不向きはある。センサーサイズが大きい方が向いているものがあるように、センサーサイズが小さい方が向いているものが必ずあると思う。

画角が狭いマイクロフォーサーズは、マクロ撮影も気持ちいい。マクロ、セミマクロ、ハーフマクロ。言い方は色々あるが要するに小さいものに迫って撮る撮影だ。昨年から今年にかけて幾度となく撮影してみたが、花や植物に迫って撮る場合、ベストな組み合わせはPEN-FとMDロッコール50mmF1.4だ。最短撮影距離が45cmのこのレンズをヘリコイド付アダプターでPEN-Fに装着する。小さな植物に近づきすぎてしまうと思い描いた被写界深度が手に入らない。フルサイズで撮ろうとすると画角が広すぎる。自分が撮りたいと思う写真の場合、PEN-FとMDロッコール50mmF1.4の組み合わせはかなり抜群だ。(今のところ)

マイプロフォーサーズとマクロ撮影01

マイプロフォーサーズとマクロ撮影02

OLYMPUS PEN-F / MINOLTA MD Rokkor 50mm F1.4

マイプロフォーサーズとマクロ撮影03

OLYMPUS PEN-F / MINOLTA MD Rokkor 50mm F1.4

マイプロフォーサーズとマクロ撮影04

OLYMPUS PEN-F / MINOLTA MD Rokkor 50mm F1.4

マイプロフォーサーズとマクロ撮影05

OLYMPUS PEN-F / MINOLTA MD Rokkor 50mm F1.4

マイプロフォーサーズとマクロ撮影06

OLYMPUS PEN-F / MINOLTA MD Rokkor 50mm F1.4

もちろん、フルサイズのカメラとマクロレンズでいい感じの花の写真を撮っている人も多いだろう。オートフォーカスレンズは撮っていて楽しくないので可能な限り使いたくない。マクロレンズはどうも気が進まない。ぼっけぼけのふんわりした写真よりも、ある程度造形をしっかり捉えたい。そういう、やや偏屈で、やや偏った、ややジジくさい、マイノリティーなこだわりを持っている人に、マイクロフォーサーズとヘリコイド付アダプター、マニュアルレンズの組み合わせはお薦めだ。

マイクロフォーサーズについて、4年前の僕が感じていた良さは「コンパクトさ」だけだった。対していまの僕が感じている良さは「撮りたい写真が撮れる」だ。好きな対象が同じでも、時が経てば見る角度、捉える内容が変わってくる。例え「いいね」の中身が変わったとしても、長く共に過ごせるというのは素晴らしいことだ。長年連れそう夫婦のように。

マイプロフォーサーズとマクロ撮影07

OLYMPUS PEN-F / MINOLTA MD Rokkor 50mm F1.4

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