何だってよくない人のPEN-F
2020.03.24PHOTOGRAPH and WOLFカメラなんて何だっていい。写真を撮る道具としてカメラの優劣は絶対的ではない。達観すればそういうことになるのだろうけど、僕のように達観できない器の小さな大人の場合そうもいかない。実際には、自分が撮りたいものと写真への取り組み方が同じならば、カメラを変えてもある程度同じテイストで写真を撮ることができる。現在販売しているハイスペックなカメラなら、どのカメラを選んでも画質が物足らないということはないだろう。解像度ではなく描写性については、カメラだけでなくレンズや現像で違いが出てくる。一定基準を超えるカメラの中で何を選ぶかは、僅かなスペックの差よりも個人的なフィーリングに依存する気がする。
知っているデジタルカメラの中で、デザインのフィーリングが合うのはライカMだ。僕が苦手とするグリップや余計なダイヤル類がなく、持ったときのフィット感は群を抜いている。ブライトフレームを含むファインダーの細部に不満はあるものの、デザインがそれを押し殺すくらいの魅力を持っている。じゃあ何でソニーα7Sを使っているかというと、どちらかと言えば消極的な理由からだ。レンジファインダーのライカと違って、α7Sは拡大表示ができるEVF、つまり視力が退化中のジジイに優しいファインダーだ。グリップは最新のものに比べて小さく、手ぶれ補正がついていない代わりにボディがとても軽い。画素数が低いのでデータも軽い。サイレントシャッターが使える。ルックスはお世辞にもいいとは言えないお粗末な代物だが、他のメリットで目をつぶることができる。ライカMマウントのレンズは70cm以下の近距離が撮れないけれど、ヘリコイド付アダプターを使ってα7Sに付ければ近距離の撮影も普通にできる。もちろん、条件に合うものがあれば他のカメラを選んでもいい。しがし残念ながら「ない」のである。
オールドレンズを楽しもうとするなら、フルサイズのカメラは持っておきたい。フルサイズのカメラと20mm〜90mmあたりのレンズを何本か押さえておけば、鬼に金棒、準備万端、幸福無害となる。じゃあ、望遠は?ということになると若干「う〜ん」と唸りだす。望遠レンズを使うなら手ぶれ補正があった方がいいし、フルサイズの望遠レンズはデカくなる。デカくても許されるのはお○んちんと和田アキ子だけだ。レンズがでかいのはよろしくない。望遠は…。その悩みを解決してくれるのが、マイクロフォーサーズというマウントだ。望遠レンズに期待するのは画角とボケで、望遠でないとどうにもならないのが画角だと思う。マイクロフォーサーズの画角はフルサイズの半分で画角の狭さが大きな弱点になるが、それは裏を返せば「画角を狭くできる」というメリットと捉えることもできる。50mmのレンズをつければ100mmの画角で撮れてしまうわけだから、持っているレンズを全部倍の焦点距離に引き上げてくれるわけだ。レンズの中央をトリミングすることになるので、残念なから周辺部に見られるオールドレンズのファジーな部分は削られてしまう。とは言えお気に入りのレンズを違う画角で楽しめるのは魅力的だ。
オリンパスのカメラはPEN-Fが使いやすかったけれど、フルサイズに移行する時に売ってしまった。少し前に映像用にOM-D M10 Mark3を買っておいたが、どうにもこうにも使いにくい。そこで一度手放したPEN-Fを買い直した。久しぶりに手元に戻ってきたPEN-Fは、バリアングル液晶を反転させることができる稀有なカメラで、後ろ姿もなかなか愛らしい。
狭くトリミングできるマイクロフォーサーズは、花や植物の接近戦に役に立つ。フルサイズのカメラで同じ画角を撮ろうとすると、撮るものに近づくことになる。近づけば近づくほど被写界深度は浅くなるので思い通りのピントコントロールが難しい。その点、近づかないでも狭い範囲を画角にできるマイクロフォーサーズなら、被写界深度も浅くなりすぎないでしっかりと撮れる。
カメラの内部がどのようなことになっているのか実際のところはわからないが、体感的にオリンパスのセンサーはとても繊細だ。ソニーはオリンパスよりも粗く、ライカMはもっと粗い。そういう印象だ。この繊細さをスマホで確認するのは難しい。PEN-FのRAWは繊細が故に少し平坦に書き出されるが、ハイライトのディテールもそこそこ拾ってくれるので現像での耐久性は良好だと思う。ライカのオールドレンズ沈胴Summicron 50mm F2.0と現代のクラシックレンズ Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4を持って、久々にPEN-Fの撮影を楽しんだ。
オリンパスやソニーではなくキャノンやニコンはどうだ?という興味はあるものの、デザインがひどすぎるので使う予定はない。シグマも頑張っているが実際に手にするとかなりひどい代物だ。どうやらカメラメーカーの人々は、100年残るような品格のあるシリーズをつくるつもりはないらしい。既にデジタル品質はいいレベルに来ているわけだから、人の手間を省くことばかりに注力せず、そろそろカメラの本質を考えてほしい。デジタルスペックを追えば追うほど、大切な本質から遠のいていく気がする。高価格な割にチープなデザインのカメラばかり触っていると、美意識の感度がどんどん退化してしまうのだろうか。そんな中、PEN-Fは悪くない感じではある。欲を言えばモードダイヤルをはじめダイヤルやボタンはもっと少なくていいとか、軽いのはいいがもう少しだけ大きくてもいいとか、もっと突き詰めることはできそうだが、まぁ、悪くない。とか何とかブツブツ言ったところで、世の中のカメラとレンズの主流はオートフォーカスと瞳AFで、ごくごく少数派のマニュアル使いが張りのない声で非難しても、チープなデザインは売れ続けていくのである。PEN-Fはあまり売れなかったようで、後続機を店頭で見ることはないかもしれない。
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lens
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- Voigtlander SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Ⅲ
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- Voigtlander ULTRON Vintage Line 35mm F2
- Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 Ⅱ MC
- Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC
- Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 E-mount
- Voigtlander NOKTON Classic 40mm F1.4 SC
- Voigtlander NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II MC
- Voigtlander APO-SKOPAR 90mm F2.8
- PENTAX Super Takumar 50mm F1.4
- PENTAX Super Takumar 55mm F1.8
- PENTAX SMC Takumar 200mm F4
- Nikon Nikkor-H Auto 50mm f2
- Nikon Ai Micro-Nikkor 55mm f/2.8S
- CANON 50mm F1.8 Ⅱ
- CANON 100mm F3.5 Ⅱ
- ZEISS Planar T*2/50 ZM
- GIZMON Wtulens 17mm F16
- OLYMPUS M.ZUIKO 12mm F2.0
- OLYMPUS M.ZUIKO 25mm F1.8
- OLYMPUS M.ZUIKO 40-150mm F4.0-5.6R
- LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱ
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