本当に欲しい情報をAIは持っていない
2026.04.06PHOTOGRAPH and WOLF生成AIがよくなってきて、とにかく便利だ。相変わらず深い知識は手間をかけないと手に入らないが、一般的で浅い知識ならGoogleで検索ワードを工夫して調べなくても、AIに聞けばわかりやすく教えてくれる。WEBサイトを制作する際にもコーディングのミスやバグの原因を的確にあぶり出してくれる。デスクワークの人がAIを使わないのは損をする、そんな時代になりつつある。AIでこんなことができちゃうぜ!と喜んでるフェーズは終わり、AIを使うことのメリットと使わないことのメリットを意図的に選択する段階がやってくる。
最先端をいつも意識して生きていない僕のような人間でも、AIがビジュアル表現の技術的な事情を大きく変えようとしていることは理解できる。映像でも写真でも現実には再現し難い仮想の世界がAIでつくりだされている。いままで莫大な予算と膨大な時間を費やしてつくっていた映画が、合成技術によって撮影スタジオとオペレーターでつくれるようになり、AIの世界ではスタジオさえもいらなくなる。場合によっては役者もいらないかもしれない。よくも悪くも、とんでもない世界である。仕上がりはどうか?というと、明らかにAIでつくったよねという代物から、現実だとしか思えないほどの精巧なものまであって、やはりそこは操作する人間のクオリティに依存する。今のところ、AIの仕事よりも人の仕事の方が精度が高い。しかし、AIの進化は驚くほど速いというから、人の精度を上回るまで大した時間はかからないだろう。そうなってきた時に、果たして人はAIのアウトプットを正しくジャッジできるのだろうか?
思えば僕らの世代は未熟な大人たちに騙されて成長してきた。根拠のない法則や慣習を真実のように教え込まれ、それがまったくの誤りだったことを知るのに30〜40年もかかった。なんだよまったく間違えばかり教えやがって。長年教え込まれた間違いを素直に実践してしまうとふざけんなよと言いたくもなるが、教師や先輩や親だっていつでも成長過程であり未熟なのだ。完璧な知識を持った完璧な人などいない。一方で今の若い人たちは、未熟な大人たちではなく未熟なAIに騙される世代と言えるだろう。AIは何食わぬ顔で雄弁に嘘をつく。
カメラがデジタル化した時期に、デジタルとフィルムについての論争や議論があった。これからはAI写真についての論争が盛んになるのだろうか。自動車の自動運転のように、カメラや現像ソフトが自動運転するようになると「もう少しF値を絞ってみましょう」とか「色温度が適正ではありません」とかカメラが言うようになってしまうのだろうか。お前ごときに指図されたくないぞバカタレ。そう言える人ならいいが、AIにリードしてもらって助かったラッキーと安直に喜んでしまうビギナーの場合、自分で想像して努力するタイミングを失ってしまう。AIが進化すればするほど、人が退化するという皮肉がここにある。AIで仕事が楽になる一方で、AIでミサイルの命中率が上がって簡単に国のトップが殺される。ニューヨークで働く知人の会社では、スタッフを大幅にリストラしてAIを導入したらしい。デザインというセンシティブな業務をAIで補完して不具合はないの?と尋ねるが、知人は「特に問題はない」と言う。多くの失業者を量産するAIは、いったい誰のために進化するのか。欲望の先に戦争という選択があるのと同じく、テクノロジーの進化が結局のところ自分自身を破滅させることにならないといいのだが…。
最近では調べることがあるとgoogle検索ではなくAIに質問することが多い。まぁ、何たってすこぶる便利だ。ホリエモンがAIを使わないのはアホだと言うのも理解できる。AIが様々なことを丁寧にわかりやすく教えてくれるので大変助かる。だが、書き出された回答を眺めていてふと思うのは、これはすべてマジョリティだということだ。悪く言えば一般的で使い古された情報だ。価値がないとは言えないが、一級品の情報ではない。だから無視しろということではなく、写真に自分なりの表現を求めるなら、一般的な情報の上に小さくても光るマイノリティな情報を乗せる必要がある。どうやってそこに辿り着いたの?どうすればそういう写真が撮れるの?という情報。そういう情報はAIから手に入りにくい気がする。いやぁ、欲しい。金払って手に入るくらいなら今すぐ欲しい。しかし、残念ながら売っていないのである。技能も、センスも、才能も情報だ。
このページの撮影機材

FUJIFILM
X-E4

Voigtlander
COLOR-SKOPAR Vintage Line 21mm F3.5

PENTAX
Super Takumar 55mm F1.8

MINOLTA
M-Rokkor 28mm F2.8

MINOLTA
M-Rokkor 40mm F2

TTArtisan
23mm F1.4 C
-

写真集「花美 5」
¥1,100 -

写真集「花美 4」
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写真集「花美 3」
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- 2019.10.05愛せる欠点とM-Rokkor40mm
- 2019.09.23植物採集の日々
- 2019.09.0263歳のキヤノン50mm
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- 2019.01.30NOKTON Classic 35mm
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- 2018.11.09終わりのない旅
- 2018.11.01M-Rokkor 28mmの底力
- 2018.10.19M-Rokkor 28mmの逆襲
- 2018.10.05焦点と非焦点
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- 2018.09.18いま住んでいる場所が終の棲家になる
- 2018.09.10強烈な陽射しと夏のハラスメント
- 2018.08.30現役とリタイアの分岐点
- 2018.08.21過去との距離感
- 2018.07.10本来の姿とそこから見える景色
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- 2018.05.15欲望の建築とジェラシー
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- 2018.03.18夫婦とか家族とか
- 2018.03.01固定概念から自由になるための礎
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lens
- LEICA Summicron 50mm F2 1st Collapsible
- Thypoch Eureka 50mm F2
- MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8
- MINOLTA M-Rokkor 40mm F2
- MINOLTA MD Rokkor 50mm F1.4
- Voigtlander SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Ⅲ
- Voigtlander COLOR-SKOPAR Vintage Line 21mm F3.5
- Voigtlander ULTRON Vintage Line 35mm F2
- Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 Ⅱ MC
- Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC
- Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 E-mount
- Voigtlander NOKTON Classic 40mm F1.4 SC
- Voigtlander NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II MC
- Voigtlander APO-SKOPAR 90mm F2.8
- PENTAX Super Takumar 28mm F3.5
- PENTAX Super Takumar 50mm F1.4
- PENTAX Super Takumar 55mm F1.8
- PENTAX SMC Takumar 200mm F4
- Nikon AF-S DX Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G ED II
- Nikon Nikkor-H Auto 50mm f2
- Nikon Ai Micro-Nikkor 55mm f/2.8S
- TTArtisan 23mm F1.4 C
- Nikon Ai Nikkor 200mm F4
- CANON 50mm F1.8 Ⅱ
- CANON 100mm F3.5 Ⅱ
- ZEISS Planar T*2/50 ZM
- GIZMON Wtulens 17mm F16
- OLYMPUS M.ZUIKO 12mm F2.0
- OLYMPUS M.ZUIKO 25mm F1.8
- OLYMPUS M.ZUIKO 40-150mm F4.0-5.6R
- LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱ
- All Photograph









