F8のキャパシティ
2019.10.24PHOTOGRAPH and WOLFF8という絞り値が好きだ。多少写真に詳しい人ならレンズのF値が8と聞いて思い浮かべるのは、解像度が高い、被写界深度が深い、湾曲や周辺光量落ちが少ない、といったことだろう。計測するとレンズ性能のピークがF8くらいになるようだが、性能のピークとグッとくる写真が必ずしも一致するわけではない。簡単に言うと、ピントが合いやすい反面、ボケが少ないのがF8というF値だ。被写体までの距離やレンズの焦点距離にもよるが、手間から奥までピントが合い、全体的にフラットに写真が撮れる傾向がある。パンフォーカスとまでいかなくても、手前も奥もディテールをしっかり写したい場合に、F8を設定する人は多いのではないだろうか。
明るいレンズの開放値でほとんどの写真を撮る人にとっては、F8は退屈なF値と言える。何せ「ボケない」ので、面白くないというわけだ。F値を絞っていけば、写真の雰囲気は動から静になる。手前や奥が極端にボケることはないので、表現は大人しくなりがちだ。F8に絞ってなおかつドラマチックな要素が欲しければ、構図や光でつくっていくことになる。これがなかなか難しい。レンズの画角やアングルを工夫しないと、いったい何で俺はこれを撮ったのかな?という手応えのない写真になってしまう。「ピント面に主役がきてボケている部分は引き立て役」というのが開放近くの絞りなら、F8以上に絞って撮るのスタイルでは「画角に写っているすべてのものが主役」くらいの気持ちでいかないと、気の抜けた写真になってしまうのだ。
フルサイズの撮影素子を持つカメラの場合、マイクロフォーサーズやAPS-Cよりも被写界深度が浅いので、適切に絞らないと写るべきものがピンぼけして肝心なところが写っていない、という間抜けなこともある。フルサイズのカメラでアダプターや接写リンクを使ってマクロ撮影するときは、F値を絞って撮らないとどうも具合が悪い。近くのものを撮るときにはF8でも背景に充分なボケが得られるので、しっかりものを写したいときには躊躇せずF8に絞りリングを回してしまう。
被写界深度を深くして、ポートレートでも風景でも建築でも素晴らしい写真を撮る写真家がたくさんいる。ある意味、自信があるんだな、と思う。いいカメラを使ってるとか、お気に入りのレンズがあるとか、そういうことではなく、躍動感も立体感も情緒も湿度も、自分の感性と力量で表現できるという自信が伝わってくる。F8に絞るということは、言ってみれば制限を設けるということだ。絞ってしまったらいい写真が撮れない。そう考えてしまう人は、F8という制限の中でどれだけ自由に動き回れるのかを知らない人だと思う。何にでも言えることだが、窮屈そうに思える制限の中は、実は意外と広い。
このページの撮影機材
SONY
α7S(ILCE-7S)
PENTAX
Super Takumar 55mm F1.8
MINOLTA
M-Rokkor 28mm F2.8
MINOLTA
M-Rokkor 40mm F2
Hawks Factory
Adapter
-
写真集「BLUE heels」
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写真集「Nostalgia」
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写真集「植物美術館」
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写真集「花美 1」
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写真集「花美 2」
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lens
- LEICA Summicron 50mm F2 1st Collapsible
- Thypoch Eureka 50mm F2
- MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8
- MINOLTA M-Rokkor 40mm F2
- MINOLTA MD Rokkor 50mm F1.4
- Voigtlander SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Ⅲ
- Voigtlander COLOR-SKOPAR Vintage Line 21mm F3.5
- Voigtlander ULTRON Vintage Line 35mm F2
- Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 Ⅱ MC
- Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC
- Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 E-mount
- Voigtlander NOKTON Classic 40mm F1.4 SC
- Voigtlander NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II MC
- Voigtlander APO-SKOPAR 90mm F2.8
- PENTAX Super Takumar 50mm F1.4
- PENTAX Super Takumar 55mm F1.8
- PENTAX SMC Takumar 200mm F4
- Nikon Nikkor-H Auto 50mm f2
- Nikon Ai Micro-Nikkor 55mm f/2.8S
- CANON 50mm F1.8 Ⅱ
- CANON 100mm F3.5 Ⅱ
- ZEISS Planar T*2/50 ZM
- GIZMON Wtulens 17mm F16
- OLYMPUS M.ZUIKO 12mm F2.0
- OLYMPUS M.ZUIKO 25mm F1.8
- OLYMPUS M.ZUIKO 40-150mm F4.0-5.6R
- LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱ
- All Photograph