写スンです GIZMON 17mm

2020.09.21PHOTOGRAPH and WOLF

GIZMON Wtulens 17mmで撮影した写真01

SONY α7S / GIZMON Wtulens 17mm

最先端技術とか高画素とか、そういうのは必要ないね。そういうマニュアルレンズ使いのジジイにとって、収差を徹底的に排除した非の打ち所のないレンズほど面白味に欠けるものはない。もちろん欠点が度を超すととってもウザい存在になってしまうが、マニュアルレンズ使いとか46歳のジジイとか、そういうのを別にしても「僕いままで何ひとつひとつ悪いことはしてません」という優等生風情が大嫌いなのだ。多かれ少なかれすべてのものには悪い部分がある。欠点を包み隠さず露出してこそ人の付き合いが始まるってモンだ。そーでしょう?ねぇ、お兄ちゃん!バーローめ!という年寄りも既に希少になった今日この頃である。

最近ペンズミ(PEN-Fと沈胴ズミクロン50mmの組み合わせ)で植物の写真を撮ることが多い。この組み合わせはなかなか中毒性が高くすこぶる気に入っているが、いかんせん画角が100mmなので世界がとても狭い。ペンズミで撮っているときに、サブとして持ち歩く画角の広い軽量レンズはないかな?そう思っていたらギズモンの「ウツレンズ」というレンズを見つけてしまった。インスタントカメラとしてその昔一世風靡した「写ルンです」のレンズを再利用したものらしく、3Dプリンターで出力したような軽いリングに「写ルンです」の小さなプラスチックレンズがついただけのシンプルな構造で、17mmの方をPEN-Fにつければ34mmの画角になるので、ペンズミのサブによろしいのではないか、という目論見である。

GIZMON Wtulens 17mmとUtulens 32mm

ギズモンにはGIZMON Utulens 32mmとGIZMON Wtulens 17mmの2つのレンズがあり、せっかくなので2つとも買って試す。どちらもF16のパンフォーカス。ピント合わせはできないレンズだがライカLマウントをMマウントに変換するLMリンクを使い、ヘリコイド付アダプターでソニーα7Sに取り付ければ、アダプターのヘリコイドを使って僅かなピントの山を追うことができる。

GIZMON Wtulens 17mmで撮影した写真03

SONY α7S / GIZMON Wtulens 17mm

GIZMON Wtulens 17mmで撮影した写真04

SONY α7S / GIZMON Wtulens 17mm

GIZMON Wtulens 17mmで撮影した写真05

SONY α7S / GIZMON Wtulens 17mm

GIZMON Wtulens 17mmで撮影した写真06

SONY α7S / GIZMON Wtulens 17mm

撮影してみるとすぐにわかる像の破綻。くっきり写るのは中央部分だけで周辺部は暗くなり思いっきり像が破綻する。あれ?写ルンですってこんなに破綻するカメラだったかなぁ、と遠い記憶に問いかける。実際製品は湾曲したレンズに対応してフィルムも湾曲させているらしいから、デジタルカメラのフラットな撮影素子で受光するとより破綻が際立つのかもしれない。こういう変わり種は、キレイに撮ろうという気持ちを捨て去って、破綻や欠落を楽しむ方がいい。PEN-Fで使いたいという目論見は外れてしまったが、画角を半分にトリミングしてしまうマイクロフォーサーズよりも、フルサイズのカメラの方が周辺落ちや像の破綻という欠点がモロに出て楽しめそうだ。

GIZMON Wtulens 17mmで撮影した写真07

SONY α7S / GIZMON Wtulens 17mm

SONY α7S / GIZMON Wtulens 17mm

GIZMON Wtulens 17mmで撮影した写真09

SONY α7S / GIZMON Wtulens 17mm

GIZMON Wtulens 17mmで撮影した写真10

SONY α7S / GIZMON Wtulens 17mm

GIZMON Wtulens 17mmで撮影した写真11

SONY α7S / GIZMON Wtulens 17mm

個人的には17mmの方が気に入った。「普通じゃない」レンズのクセ。画角も「普通じゃない」方がしっくりくる。17mmという超広角な画角も慣れてくるとなかなか気持ちがいい。RAWで撮った画像を少々誇張ぎみに現像してみると面白い絵になった。現像のテイストとうまくマッチさせることができれば、意外とあなどれないレンズなのかもしれない。

安い素材でつくられたレンズなので、何もかもいい感じに撮れるという期待はできない。何を撮るか、どう撮るかというのを考えないといけない。レンズが写真を写す、というより、自分自身が写真を写すという少々能動的に絵をつくっていかないと、とただ単にフニャフニャでモヤモヤの写真になってしまう。「写ルンです」ではなく「写スンです」モードでこのレンズを使っていくと、いい相棒になれるかもしれない。

GIZMON Wtulens 17mmで撮影した写真12

SONY α7S / GIZMON Wtulens 17mm

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