矛盾ハンター
2020.09.01PHOTOGRAPH and WOLF眠っているときに見る夢は、どうして見るのか?という疑問に応える仮説を聞いたことがある。人は誰しも何かしら矛盾を抱えている。本当はこうしたいのに、それができない。金が足らないから、手に入らない。ハンサムなのに、モテない。といった具合に「…なのに…」という矛盾はストレスの原因となりそれが蓄積すると体に悪いので、その矛盾を脳が自ら解消する働き、それが眠っているときに見る夢だ、という話だった。夢は設定がぶっ飛んでいて何だか意味不明なストーリーが多い。起きている間の矛盾やジレンマを、眠っている間に脳がリセットしているのだとしたら、そういうことも頷ける。
世界は矛盾に満ちているものだし、そう言う自分もかなり矛盾を抱えた不器用な生きものだ。とは言え、なるべく矛盾は少ない方が生きやすい。矛盾を避ける方法、それはあらゆることにおいて「決断」することだ。選択肢を目の前にいくつも広げたままで、いつまでも決断を保留したままにしておくと、自分だけでなく周囲まで悶々とした空気を感染させることになる。今年の新型コロナ関連の出来事を振り返ってみると、男らしい決断の意思がまったく見えてこない。遅すぎる判断に曖昧な措置、意味不明なマスクと、理解不能なキャンペーン。理解できないのは政府の動向ばかりではない。小さな飲食店や旅館といった個人オーナーの商売では、様々な決定を自分の意思でできるはずなのに、どうも自分で決めるのは苦手らしい。その中でいち早く店舗や事業を店じまいした経営者は実に潔い。どうしても手放したくない好きな仕事だったとしたも、一時的に離れてから再び戻ってくるという選択もあるはずだ。経済との両立と言うが、感染リスクの高いものを以前と同じ状態で継続することでは両立などありえない。完全個室、マスク着用でないと会話厳禁。当店は飲む時食べる時以外はマスク着用を義務とします、くらい徹底してはじめて「両立」の希望がみえるものだ。やるなら、とことんやる。やらないなら、全部忘れてしまえ。そういう昭和的マインドは歓迎されない世の中なのだろうか。
AとBのどちらかに決めることはできないから、間をとってABにしましょう。仕事をするようになってから、そういうのを「大人の事情」だと聞かされてきた。現場は全員Aにしたいが社長がBと言っているので、BっぽいAにしてください。本当はAの方がいいのはわかっていますが、既に決定してしまったのでBでお願いします。そうやって第三者が理解に苦しむ矛盾が次々と生まれていく。譲歩、妥協、協調、そういうことがスマートにできることが大人になるってことなんだなぁ、そう思い始めたら危険のシグナルと思った方がいい。ママがいないと決められないのは子供の事情で、大人が決められないのは「残念ながら大人になれなかった大人の事情」でしかない。決断することができて、実行する力が身についた状態を「大人」と呼びたい。成功も失敗もしないで穏便に済むかもしれない、もしかしてそう考えて決断しないのかもしれないが、決断しない時点で成功する確率はゼロになり、結局のところそれは失敗なのだ。
写真を撮っていて、構図を迷うことはあまりない。ただし絞りについては決め切らす、開放近くと絞ったものを両方撮っておくことがある。オールドレンズの開放近くのF値は、周辺部の画質が落ちる反面、中央からのグラデーションが強くなる効果が魅力的だ。像が破綻するのと引き換えに、その欠落が作用して魅力的な絵になる。絞って撮ったものを画像処理でトーンをつけたものでは同じにならない。絞って撮った写真も好きだ。絞ろうと思ったときにはいつもF8にしていたが、最近はF5.6という絶妙なニュアンスにハマっていて、このF値をよく選んでいる。開くか絞るか。どちらにするか決めきらずに両方撮っておいて現像時に比較することになるが、現像してみるとどちらのニュアンスも捨てがたくモヤモヤとしてしまう。結局のところそういったものを解決するのは「数」と「コンセプト」でしかない。より多くの数を経験して自分の中で絶対的なロジックやコンセプトが確率すれば、絞りがどうとか、色がどうとか、そういう選択は瞬時に判断することができるようになるだろう。1,000枚で足りなければ10,000枚、1時間で足りなければ100時間費やせばいい。
矛盾があっていいのは、可愛い女性の発言と写真表現だけだ。そう言いたいがそうもいかない。どれだけ意識しても矛盾はなくならない。我々はマシーンではないのだ。何度打ち込んでも同じ答えを出す安定性は持ち合わせていない。ウロウロし、ユラユラし、メソメソする。それが我々ヒューマンである。しかし決断力を手に入れることができれは、少しでも多くの矛盾を解消することができる。世の中はともかく、自分の中の矛盾だけでも潰していきたいものだ。
写真なら色々撮っておいて比較することができる。現像時にじっくり比較するのも楽しい時間だ。しかし写真ではなく、仕事や恋愛や将来の場合、選択肢の両方を実行して後で比較することはできない。どちらの選択もメリットと同時にリスクがある。大体この世の中にリスクのないものなどあるだろうか? 決断してよかったと思えるためには、決めた後の行動にかかっている。決断したものを成功に押し上げる努力をしたくない人は、何についても決断できない。自分が決断できるポジションにいることも忘れようとする。そして決断しないままのプロジェクトは、不格好に歪んで理解不能な矛盾に満ちていく。
このページの撮影機材
SONY
α7S(ILCE-7S)
OLYMPUS
PEN-F
CANON
100mm F3.5 Ⅱ
LEICA
Summicron 50mm F2.0 Collapsible
PENTAX
Super Takumar 55mm F1.8
MINOLTA
M-Rokkor 28mm F2.8
MINOLTA
M-Rokkor 40mm F2
Hawks Factory
Adapter
-
写真集「BLUE heels」
¥1,100 -
写真集「Nostalgia」
¥1,100 -
写真集「植物美術館」
¥1,100 -
写真集「花美 1」
¥1,100 -
写真集「花美 2」
¥1,100 -
写真集「花美 3」
¥1,100
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lens
- LEICA Summicron 50mm F2 1st Collapsible
- Thypoch Eureka 50mm F2
- MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8
- MINOLTA M-Rokkor 40mm F2
- MINOLTA MD Rokkor 50mm F1.4
- Voigtlander SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Ⅲ
- Voigtlander COLOR-SKOPAR Vintage Line 21mm F3.5
- Voigtlander ULTRON Vintage Line 35mm F2
- Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 Ⅱ MC
- Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC
- Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 E-mount
- Voigtlander NOKTON Classic 40mm F1.4 SC
- Voigtlander NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II MC
- Voigtlander APO-SKOPAR 90mm F2.8
- PENTAX Super Takumar 50mm F1.4
- PENTAX Super Takumar 55mm F1.8
- PENTAX SMC Takumar 200mm F4
- Nikon Nikkor-H Auto 50mm f2
- Nikon Ai Micro-Nikkor 55mm f/2.8S
- CANON 50mm F1.8 Ⅱ
- CANON 100mm F3.5 Ⅱ
- ZEISS Planar T*2/50 ZM
- GIZMON Wtulens 17mm F16
- OLYMPUS M.ZUIKO 12mm F2.0
- OLYMPUS M.ZUIKO 25mm F1.8
- OLYMPUS M.ZUIKO 40-150mm F4.0-5.6R
- LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 Ⅱ
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